2019年に注目すべき「合法大麻業界」の動向と、3つのトレンド

2018.01.16

Posted by 亀村

 

 

1980年代のシリコンラッシュ、一昨年の仮想通貨業界隆盛の再来とも言われる、グリーンラッシュ(嗜好品大麻、医療用大麻)について調べてみました。

 

2017年、国連のWHO(世界保健機構)は大麻に含まれる酩酊作用をもたらさない成分の「CBD」に、医療的有効性があることを認めました。大麻産業を自国の成長エンジンにしようと世界各国で嗜好品大麻、医療用大麻の解禁が急速に広まっています。

 

2018年10月にはカナダで嗜好品としての大麻が先進国では初めて合法化され日本でも大きなニュースになりました。

 

調査会社Genesis Market Insightsの最近のデータによると、2017年には171億8000万ドル(約1兆9000億円)だった世界の大麻市場規模は、18年から23年かけて589億ドル(約6兆6000億円)まで伸びると予想されています。

 

今、世界中で注目されている合法大麻について2019年の3つのトレンドを予想しまとめてみました。

 

①製薬業界、ビール・タバコ業界と大麻企業との提携が進む

2018年8月Bloombergによると、「コロナ」ビールなど酒類販売の米コンステレーション・ブランズは、カナダでマリフアナ(大麻)を栽培加工するキャノピー・グロースの株式を50億カナダ・ドル(約4200億円)で追加取得し、キャノピー株の持ち株比率を38%に引き上げたことを明らかにしました。

 

2018年12月の日経新聞によると、カナダの医療用大麻大手ティルレイは、ビールの世界最大手アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー)と、医療用大麻入りノン・アルコール飲料の開発で提携を結んだと発表。

 

さらに、ティルレイはスイスの製薬大手ノバルティスのグループ会社と大麻入り医薬品開発での提携を発表。

 

「マルボロ」「フィリップ・モリス」で知られるアメリカのタバコメーカー「Altria Group」(アルトリア社)は、カナダのマリファナ事業の会社「Cronos Group」(クロノス社)に18億ドル(日本円で約2000億円)を投資したことを発表。

 

広範な販売経路を持つ酒類製造大手にとって、大麻成分を使った飲料製品の開発は非常に魅力的で、従来型商品を大麻と組み合わせることに強い興味を持っています。

 

タバコ業界にとっては、現時点で大麻産業はそこまで大きくはないもののリラックス効果などユーザーのニーズを満たす観点からはタバコの代替品として脅威となります。新たなドル箱を手に入れる、リスクヘッジの手を打つ意味でも大麻企業との資本提携が進むと考えられます。この影響は製薬業界にとっても同様です。

 

マーケットの大きさ・成長性を考えると、ビール・タバコ業界、製薬業界の大手企業が大麻業界スタートアップや大企業と提携をする流れはさらに加速すると予想しています。

 

②大麻関連スタートアップのIPO、統廃合

2018年1月時点でアメリカとカナダの証券取引所に上場されている大麻関連企業は39社存在します。各企業の直近四半期売上は以下の通りです。

 

cannabistock

四半期売上高が31.3億円ともっとも大きかった企業は1940年設立、2018年9月にカナダ国立証券取引所に上場した医療用大麻専トゥルーリーブです。

 

医療用大麻についてはU.S.では1996年からカナダでは2003年から公に認めれており、トップ10社中7社が2010年以前に設立された会社となっています。

 

一方、U.S.では2012年に初めて州レベルで嗜好用大麻が解禁され、2014年からベンチャー投資が急加速しました。合法大麻のスタートアップが過去数年間で最も多く育ったことがわかります。

 

合法大麻の市場は急激な成長の真っ最中ですが、今後数年でユーザーのトラフィックは上位に集中し寡占化されていくはずです。

 

2018年10月、MedMenが2014年設立医療用大麻スタートアップのPharmaCannを $682Mで買収。

 

2019年の経済のダウントレンドや大麻業界内でのイノベーションの進化によって、上記のような老舗企業がスタートアップを買収する事例がさらに増えると思います。

 

③合法大麻のブランド化、トラッキングサービスの立ち上がり

 国内大麻メディアCannabistockによると、大麻業界は非合法マーケットとの競合、またコロンビアなどの生産コストの安い国で製造された製品の流通の可能性などから、低価格が進み、コモディティ化する可能性があると言われています。

 

また、世界でも有数のデザインファームFrog副社長のTim Morey氏は下記のように語っています。

「これまで禁止されていた製品(大麻)が数十億ドル規模のマーケットになり、想像もできないような波及効果をもたらすことは、これまで前例がない。購入や使用に対する障壁を減らし、市場拡大を加速させるためには、効果的なデザインと商品戦略が欠かせないと考えている。」

 

デザイン戦略の観点からはアメリカのオレゴン州ポートランドに2店舗を展開するSERRAの戦略が面白いです。SERRAは今までのマリファナのイメージを一新し、新しい文化を作ることを目指すブランドです。お店の雰囲気はおしゃれなセレクトショップのような雰囲気を漂わせています。

大麻と言えば「ダメ。ゼッタイ。」と思い浮かぶ私をはじめ日本人にとっても大麻のイメージはネガティブですが、U.S.においてもデザイン・商品戦略によるイメージアップは課題となっていて、ビールを銘柄で呼ぶように大麻もブランドとして選ばれるためのブランディングは今後重要になると強く感じます。

 

大麻のブランド化が進むと、種植えからセールスまでのトレーサビリティを提供するMj freewayのようなサービスの価値が発揮されると思います。

 

(医療用)大麻の日本での解禁はどうなのでしょうか?

 

日本では、古くから大麻産業が盛んで、大麻は紅花・藍と並ぶ有用な植物3草に数えられていたそうです。戦後、GHQの指摘により大麻は全面禁止となり、現在では国内に存在する麻農家を保護するために「大麻取締法」の下、許可を受けた者のみが大麻栽培できます。2014年の調べで少し古いですが、全国で合法大麻栽培者は33人しかいないようです。

 

大麻栽培でまちおこし、厚生労働省

 

現状、都道府県知事の免許を受けた大麻取扱者のみ栽培が可能ですが、大麻から製造された医薬品の施用等は一切禁止されています。

 

世界を見ると、国連の世界保健機関(WHO)は大麻やTHC(大麻の有効成分)の規制の見直しに向けて加盟国らが話し合いに参加することを呼びかけている状況です。ただし、結論から言うと日本での医療用大麻の解禁はかなり時間がかかると予想されています。

 

「大麻ビジネス最前線」(著者:高城 剛)によると、「安全性や有効性を評価するために、ヒトを対象とした臨床試験を行う必要があっても、まったく実現できない。これでは、日本において医療用大麻の是非を問うこと自体、難しいのも当然だ。..また、日本には従来、欧米で医薬品として認められたものが日本でも薬として使用されるまで、承認審査に膨大な時間がかかり、長く患者が待たされるという「ドラッグ・ラグ問題」がある。..」と記載されています。

 

今回合法大麻業界を調べみて、大麻草の持つてんかんなどの治療効果、リラックス効果、燃料や繊維としての活用方法の多様性を知りかなり面白い産業だと感じました。また、大麻と戦後の石油産業との関わりや多方向での業界との利害関係を知れてかなり面白かったです。北米の大麻関連スタートアップの成長を見ると、このようなビジネスチャンスに指を咥えて見ている事しかできない現状はかなり悔しいです。

規制の緩和の可能性が高まった際どの分野から立ち上がっていくのか考えながら、今後も海外のグリーンラッシュの情報をウォッチしたいなと思います。

 

(参照:

https://forbesjapan.com/articles/detail/20553

https://toyokeizai.net/articles/-/243972)

https://forbesjapan.com/articles/detail/23434/2/1/1

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-20/PK0OZY6KLVR401

https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL20H2M_Q8A221C1000000/)

https://kai-you.net/article/60087

https://observer.com/2018/03/legalization-has-tobacco-companies-interested-in-marijuana-industry/

https://cannabistock.jp/column/cannabis-biz-trend-branding/

https://forbesjapan.com/articles/detail/20553

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