ブロックチェーンスタートアップに対するベンチャー投資について

2018.05.29

初めまして!KVPアソシエイトの亀村です。

 最近、ブロックチェーンスタートアップがVCから資金調達を行うニュースをよく見かけるようになりました。今回はブロックチェーンスタートアップへのベンチャー投資についてブログを書きたいと思います!

 

ブロックチェーンスタートアップに対するベンチャー投資額は約1,400億

 海外のスタートアップニュースサイトとして有名な、Crunchbase newsによると、まだ2018年が始まって5ヶ月しか経ってないにもかかわらず、2018年のブロックチェーンスタートアップに対するベンチャー投資額は、2017年の投資額$1B(日本円にして約1,100億円)を超え、$1.3B(日本円にして約1,430億円)にも達しているそうです。

 世間一般の人々のブロックチェーンや仮想通貨に対する認識はここ数ヶ月で大きく変わっていないと思いますが、ブロックチェーンスタートアップに対するVCの目は著しく変わってきているようです。

https://goo.gl/GXSsKk

 ブロックチェーンスタートアップに対する全世界でのベンチャー投資を見ると、2018年の投資(約1,430億円)がいかに大きく伸びているか理解できると思います。

 

 直近ですと、5/15日、もともとFintechの会社であって、米大手仮想通貨取引所Poloniexを買収したCircleがシリーズEにて、Preバリュー$2.9B(約3,190億円)で$110M(約121億)の資金調達を行いました。投資家には、マイニング会社大手のBitmainやuberに投資実績のあるTusk Ventures等のVCが名を連ねています。

 

 さらに、同日、株や仮想通貨を手数料無料で取引できるオンラインプラットフォームを運営するRobinhoodが、シリーズDにて、バリュー$5.6B(約6,160億円)で、ロシアのビリオネアともいわれるユーリミルナーや世界最大のVCと呼ばれるSequia Capital等から$363M(約400億円)の調達を発表しました。

 

VCから投資を受けたブロックチェーンスタートアップ

 これらのブロックチェーンスタートアップへの投資額は大きいですが、他にも多くのブロックチェーンスタートアップがVCから資金調達をしています。

 そこで、2018年に入ってから、ブロックチェーンスタートアップがVCから資金調達を行った事例について可能な限り調べて見ました。(ICOは除く)

検索データベースは主にCrunchbase、各社White paper、各社オウンメディアです。

 今年5月までの資金調達額$1,300Mのうち$886.5Mまで調べることができました。(調べきれないところがありますが、これでもかなりの時間をかけて調べましたw7割は調べれたので全体の傾向を掴むためにはこれで良いのではないかと思います)

全体としては、仮想通貨取引所系や、ポートフォリオ管理、ハードウォレット、決済等、仮想通貨取引関連領域が大きな投資を受けている印象でした。

 これらの中でも、私が個人的に面白いなと感じたブロックチェーンスタートアップをご紹介したいと思います。

・Codex

 まずはCodexというアート作品の来歴情報をブロックチェーンに記録するサービスを手がけている会社です。 

 Codexの事業の特徴は、アート作品の取引当事者が来歴情報に直接アクセスできるため、作品の真贋を確かめるための証明コストや手間を省けます。来歴情報がブロックチェーン上に記録されることため、改ざん不能であり、価値の証明が可能となります。また、アート作品の所有者は富裕層が多くプライバシー保護にとても敏感であるため、現在の所有者の身元を秘匿としたいニーズが強くあります。ブロックチェーンを利用することで、現在所有者の情報を秘匿とし、対象物の出所や、過去の所有者情報から作品の真贋を証明することができます。

 また、昨今の仮想通貨業界の盛り上がりにより新たな仮想通貨富裕層も誕生しています。通常、アート作品のオークションに参加するためには参加者は自身の財務内容を開示する必要がありますが、既存のフレームだとこのような仮想通貨富裕層の財務内容を評価することができません。仮想通貨をベースに財務内容の開示ができる仕組みが整えば、新しいオークション参加者の獲得にもつながります。

 Codexはサンフランシスコとロンドンにオフィスを構えています。ファウンダーのMARK LURIEはハーバード大学を卒業後BESSEMER VENTURE PARTNERSで働いていた人物です。

 Codexの投資家ですが、1911年から投資活動を続けているVC名門、近年リクトイン、ピンタレストを育成したBESSEMER VENTURE PARTNERS、アメリカニューヨークのVCで、過去にはアリババやUuberへの投資をしていたFJ Labs、そして仮想通貨のヘッジファンドであるPANTERA Capitalが名を連ねています。直近のファイナンスは今年3月で、PANTERA Capitalから$500万の資金調達を行いました。CodexはSAFT(※)という手法で資金調達を受けています。

 

・Robinhood

https://robinhood.com

 Robinhoodは冒頭で少し紹介した通り、手数料無料で株や仮想通貨を取引できるオンラインプラットフォームサービスの会社です。Robinhoodがビットコインやイーサリアムの取り扱いを始めたのは今年2月なのでつい最近です。よくある仮想通貨取引所の後追いサービスと感じられるかもしれませんが、Robinhoodの面白さはそのビジネスモデルにあります。Robinhoodは創業が2013年ですが、創業以来売買手数料無料を貫いています。

 どのようなビジネスモデルかというと、2倍の購買力オプションや、時間外取引を可能にするオプションを月$6で提供することや、銀行が預金利息を受け取るように、Robinhoodのアカウントに残されているキャッシュから利息の受け取りやセキュリティ料金を徴収することで収益をあげているようです。

 それに加え、高価な広告費や場所代、マニュアルによるマネジメントなどの無駄を徹底的に効率化しているからこそ手数料無料を達成できるようです。手数料無料で必要な都度課金を行うモデルは、フリーミアムが当たり前のミレニアム世代、ジェネレーションZの新しい投資家に刺さるサービスとなるかもしれません。

 創業者である Vlad Tenev と Baiju Bhattはスタンフォード大学出身で、ルームメイトでありクラスメイトでもありました。投資家はFacebook、Twitter、Whatsappに投資したシリコンバレーきっての投資家ユーリミルナーや、世界最大のVCと言われる Sequoia Capitalが参加しています。

 

・Chainalysis

https://www.chainalysis.com/#about

 Chainalysisはブロックチェーン追跡サービスの運営を行なっています。政府や警察組織をクライアントとした犯罪捜査への協力や、取引所に対する犯罪リスクがありそうなカスタマーからのビットコインなどの入金に対して、自動的にアラートを鳴らすサービスを運営しています。MtGOXのハッキング事件においても、この会社が捜査に協力していたといいます。また、昨年はChainalysisの新しい顧客として、IRS(アメリカ合衆国内国歳入庁)等も同社を利用しています。

 直近のファイナンスは今年4月で、シリーズAにて$160万の資金調達を実施しました。

 投資者は、Dropbox、Snapchatにも投資しているアメリカのVC、Benchmarkや、アクセラレーターとして評判の高いTeachars、ベルリンに本拠を置きZendeskにも投資をしたPoint Nine、サンフランシスコのVC、FundersClub、仮想通貨投資ファンドのDigital currency group等です。

 仮想通貨はその匿名性を悪用し資金洗浄の手段として用いられる可能性も十分あるので、仮想通貨業界のモニタリング市場は今後大きくなるのではと思います。

 

上記で取り上げたブロックチェーンスタートアップは全て海外の企業です。

日本では、ほんの少しですが、ブロックチェーンスタートアップが立ち上がっているらしいです。日本が海外と比べて圧倒的にブロックチェーンスタートアップが立ち上がるスピードが遅いのは、日本の法規制が影響している可能性もあると考えてます。このことについては次のブログで触れてみたいと思います。

 海外の投資状況を見ると、ブロックチェーンスタートアップは今後ますます存在感を増すことと思います。日本でも、最近ブロックチェーン起業をサポートするような会社が立ち上がってきており、今後に注目したいと思います。個人的にこのブロックチェーンとトークンエコノミーという領域に未来を感じており調べていて楽しかったです!

お読みいただきありがとうございました。

 

(※)SAFT(Simple Agreement for Future Tokens)とは

 SAFTとは将来のトークンを受け取ることを前提とした投資契約の一種です。そして、SAFTは米国大手エンジェル投資家ネットワークのAngelistが支援するICOの自主規制ルールで、SEC報告/適格機関投資家(エンジェル投資家など)KYC-AML(アンチマネーロンダリング)の実施等を定めたルールでもあります。

 

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