「KVPTALK ~VCが投資を決めた学生起業家の市場選定とは?~」の様子を公開!

2019.01.09

 

KVP投資先の中から若手起業家3名と、ユニバーサルバンク鳥居氏をお招きし、KVPからキャピタリスト萩谷を加えて
【若手起業家の市場選定】についてディスカッションを行いました!

 

(昨年10/30の開催にも関わらずブログ更新がかなり遅くなってしまいました…。あけましておめでとうございます🎍)

 


【セッション① 若手起業家3名の市場選定】

登壇者

  • 本多 祐樹 氏 (株式会社DIRIGIO  代表取締役CEO)
  • 満田 聖也 氏 (カクトク株式会社(旧Nitlon) 代表取締役)
  • 竹下 俊一 氏 (株式会社GATARI  代表取締役CEO)

モデレータ

  • 鳥居 佑輝 氏 (ユニバーサルバンク株式会社 代表取締役CEO)

(以下敬称略)


バイトの経験から見えてきた中食マーケット

本多『Picks』という、飲食店のテイクアウト商品を検索・事前に注文・クレジット決済できるスマホアプリをつくっています。

鳥居:早速ですが、Picksのサービスは何がきっかけで思いつかれましたか?

本多:もともと飲食店でアルバイトをしていて、電話で二日連続テイクアウトの注文を取るという経験をしました。テイクアウトは飲食店の視点で利益率が高く、お金が還元される仕組みだと感じました。当時、ファインダインや出前館みたいなサービスのテイクアウト版ができないかと思って調べてみると、海外でうまくいっているし、中食市場はどうやら年々伸び続けているぞということがわかって、これはいけるんじゃないかと思ったことがきっかけです。

Picksを運営する本多氏

鳥居:結構海外とかはチェックしているんですか?

本多:海外の類似事例や資金調達状況は調べています。

鳥居:海外の事例をチェックするのは本多さんにとっては普通のことなんですか?

本多:そうですね。そもそも、自分の中でアメリカのライフスタイルが徐々に日本に移行しているんじゃないかという仮説があります。だんだん共働きが増えてきたりして。特に食に関しては、僕は少しアメリカに住んでいたんですけど、アメリカの食文化が徐々に日本に移行していると感じていて、アメリカでうまくいっているサービスは日本でもうまくいく可能性が高いのではないかと思い調べていました。

鳥居:事業は予想通りの手応えはありますか?

本多:概ね市場自体は上がっているので、簡単ではないけど少しづつ成長できています。

 

社会に新たな仕組みを提示したいから、あえてB2B

満田『kakutoku』という、営業のフリーランスと企業をつなぐマッチングプラットフォームをつくっています。

鳥居:市場はどう考えて選びましたか?

満田:前提として、事業をするとしたらB2Cではなく、B2Bだなと考えていました。世の中に新しい仕組みや文化を作ってそれを浸透させていきたいとという考えがもともと根底にあって、それを実現できるものは何かとアンテナを張っていました。

kakutokuを運営する満田氏

満田:その流れでシタテルという会社でインターンからスタートし、1から営業を学んで営業統括まで上がりました。その中で営業の魅力を知ったのですが、スタートアップに人がまだ流れていない時期だったので、業界として営業職が足りない状況がありました。知り合いの営業の人に声をかけてみると「副業として手伝う程度からならいいよ」という声が多かったので、チームに入る足がかりとしても結構そういう形もありなんじゃないかと思いました。国内の営業職の多さは肌感でわかっていたので、この領域に張ってみたと言う感じです。

営業職って、企業の売上をつくる存在で成長や生存の根幹なので、今はマーケットがなくても着実に企業向けに結果が出れば、売れれば売れるほど営業予算は膨れていくと思ったので、事業的にちゃんと伸びるか考えた時にも大丈夫と判断しました。企業の営業部門をクラウド化していくということを狙っていて、かなりの大きさである営業職への求人市場をリプレイスしていきたいです。

鳥居:競合についてはどうですか?

満田:営業領域にフォーカスしたものはないです。マッチングだけでなく、その先の変数も複雑で大変なこともありましたけど、準備も含めて5~6年かけているのでノウハウで他社に対して参入障壁を作れてきていると思っています。

 

ARの体験したことがきっかけでのめり込んだ。

竹下『GATARI』というVR/AR/MR技術を用いて次世代のコミュニケーションをデザインする会社をやっています。

鳥居:竹下さんは市場選定についてはどう考えられましたか?

竹下:VR空間に入って海外の面接官とコミュケーションする体験をしたことが原体験になりました。

最初の事業では不動産の内覧をやっていました。自己資金60万円で始めたのですが、当時はVRはおもちゃ程度にしか見られておらず、100件営業行っても全然相手にされませんでした。不動産市場のレガシーさや硬さを感じるなか、半年やって資金が尽き始め、チームの仲違いもあって解散してしまいました。当時の反省として、ビジョンもなく事業として堅そうという印象からしか市場選定出来なかったため、ハードシングスの時にチームが持たなかったというのがあります。

GATARIの竹下氏

竹下:その反省を活かして、『スマートフォンの次の時代における、コミュニケーション領域のデファクトになるようなものを作ろう』というビジョンを掲げ、そこからは資金調達をして改めてビジョンドリブンで走り始めて今に至っています。

鳥居:市場でいうとVRコミュニケーションのどの領域を取るイメージですか?

竹下:VRの会議サービスは伸びが悪かったので、実はVRコミュニケーションからは一回ピボットしています。アプリレイヤーをやっているとハードの浸透を待つ形になってしまうので、それならハードを自分で作ってしまおうと、今はARのハードをつくっています。

鳥居:ハードをつくっているんですか!?

竹下:まだ外で使えるものは全然存在していなくて、技術的なハードルが解決されるのはかなり先の話です。ARの技術の伸びが遅い中で、まずはハードを自分たちで出来るところからつくっていこうというフェーズです。

 

みんな気になる「プログラミングは自分で?エンジニア採用はどうした?」

鳥居:市場選定について悩まれる方もいると思いますが、いざ起業するとなるとエンジニア採用の壁もあると思います。会場からの質問で「プログラミング学習やエンジニア採用はどうしましたか?」というものがありました。竹下さんから順によろしくお願いします。

竹下:最初は自分で書いていましたが、もともと生粋のエンジニアではないので今はメンバーに任せています。自分で書いても書き直されるので笑。今会えた人は、五月祭(東大の大学祭)でナンパしました。当時VRやってるひとが少なすぎて、やってる人同士はそれだけで仲間感があって声をかけやすかったです。

満田:うちのCTOは31歳の方です。2~3年前にハロウィンパーティで出会いました。

鳥居:ハロウィンパーティ笑!?

満田:PHPのLaravelを使ってるという話をしたら気が合って、半年以上副業で手伝ってもらって、そこからジョインしてもらいました。副業で入ってもらってフルで入ってもらう流れが多いです。

鳥居:五月祭、ハロウィンパーティときましたが、本多さんはどうですか?

本多:今は副代表がエンジニアリングを統括してくれています。創業者のどちらかがエンジニアリングできた方がいいという結論に至ったので、彼は元々プログラミングの基礎知識がなかったのですが、情報系の学部にいて数学もめちゃくちゃ得意だったのでお任せしました。結構天才児で、2ヶ月で動くものをつくりあげてくれました。

エンジニア集めで大事だと思うのは、ディティールのこだわりをわかってくれる人を見つけるか、もしくは育てられるかだと思います。社長のこだわりとエンジニアのコンフリクトが頻発した時期もありましたが、「ライフスタイルを変えたい」というビジョンに共感して集まってくれた仲間だったので、細かいこだわりも納得してくれて一緒につくっていけました。

司会:ありがとうございます。ここで後半のセッションに移らせていただきます。皆さまありがとうございました。(会場拍手)

 


 【セッション② 若手起業家が投資を受けるには?】

登壇者

  • 鳥居 佑輝 氏 (ユニバーサルバンク株式会社 代表取締役CEO)
  • 萩谷 聡 (KLab Venture Partners株式会社 キャピタリスト)

(以下敬称略)


投資先を決めるポイントとは?

司会:ここからトーク②として、引き続き鳥居さんと、KVP萩谷から「どんな起業家に投資するのか」について伺って行ければと思います。まずはお二人の自己紹介をお願いします。

萩谷:ありがとうございます。萩谷です。KLab Venture Partnersでキャピタリストをやっています。

KLabに新卒で入った後、ゲームのディレクターを2年ぐらいやっていて、3年目の時にKVP代表の長野に声をかけられVCの世界にきました。新卒3年目ぐらいに起業しようかなと思っていたのですが、その時にVCに声をかけられ、VCで半年ぐらいしっかり頑張れば成長できると思い、やっていると4年が経っていました。今は自分でも案件を見つけて投資、支援をしてという会社を18社ぐらい見ています。よろしくお願いします。

鳥居:改めまして、ユニバーサルバンクの鳥居です。

僕は2012年に立命館アジア太平洋大学を卒業して、イーストベンチャーズに1号社員として入りました。そこでファンドがなかったところから40億ぐらいのお金を集めつつ、初期のメルカリ、BASE、bitFlyer、ツイキャス等100社ぐらい幅広く投資をさせて頂いていました。若手起業家だと、ゴロー(現アラン・プロダクツ)の花房くん、delyの堀江くんとかCandleの金くんなどに投資をさせて頂いていました。

3年前にイーストベンチャーズを退職して今はユニバーサルバンク株式会社という会社を作って、インターネット上でベンチャーがクラウドファンディングの形で株を一般投資家に出す形で資金調達ができるような仕組みを今作っています。立ち上げから3年ぐらい経っちゃったのですが、ずっと証券会社を作っていて。社員の平均年齢は55歳で、社員の大半以上が60歳以上の証券会社出身ばかりの会社です。今は最年少証券会社社長として、ベンチャーの株を取り扱えるようにということで頑張っています。

萩谷:いま会社は何人くらいなんですか?

鳥居:今は10人程度います。

 

なぜクラウドファンディング型投資?

司会:鳥居さんにお伺いしたいのですが、株式投資型クラウドファンディングを始められた経緯を教えて頂けますか?

鳥居:シードラウンドはここ数年で調達しやすくなっていて、シードVCやエンジェルも増えてきて、資金調達環境は良くなっていると思います。だけど、その次のシリーズA、数千万中盤から後半までのラウンドまでには谷があるな、どこも資金調達困られているなという実感がありました。世の中的には金余りと言われていて、全然出し手いっぱいいるでしょと言われることが多いんですけど、それで集められているのは本当に氷山の一角で、そうじゃなくて苦しんでいる起業家がたくさんいるなと感じていました。金余りっていう言葉自体もそもそも余っているということは出せてないから余ってるんですよ。やっぱりリスクが取れてないんです。

ユニバーサルバンク鳥居氏

鳥居:そこで、もしかすると個人ならそこを埋められるんじゃないかと思って、日本全国には事業のことをわかってくれる人はいるだろうと、しかもその人たちが10~15万くらいであれば、出してくれるような人はたくさんいるんじゃないかと思って今の事業を始めました。

司会:ということは、エンジェルラウンドの置き換えになるというイメージではないのでしょうか?

鳥居:ステージとしてはエンジェルラウンドからシリーズAぐらいですね。

萩谷:VCラウンドに合わせてというのもありなんですよね?

鳥居:ありです。むしろVCをリプレイスするというよりは、VCと一緒にリスク機能を担いたいと思っています。なので、協調投資もしますし、フォローオン投資、逆にパスもしたりします。

 

登壇した3社が評価されたポイントは?

司会:萩谷さんに質問です。先ほど登壇された3社はどこを評価して投資をされましたか?

萩谷:今回のイベントのテーマというところで、若手の市場選定をどう決めていくかというところなんですけど、まず競合優位性を作りやすいのはどこのマーケットかなと考えた時に、一つは最新のテクノロジーの領域はありかなと思っています。ブロックチェーン、AI、XR、ドローンなどですね。今その市場は基本黎明期なので、どこが伸びていくのかわからない。ブロックチェーンもアプリレイヤーでどういうものが流行るのか、VR、ARもB向けなのか、コミュニケーション領域みたいなC向けなのかわからないところで、大事なのは優秀なエンジニアをどれだけ囲えるか。その中で売上をある程度立てながら市場の行く末を見て、ここだというところに思いっ切り振れるかだと思っている。その文脈で考えると、GATARIがその領域だと思っています。

KVPキャピタリスト萩谷

萩谷:もう一つはシェアリングエコノミーかと思っています。この領域の勝ち方としては供給サイドをいかに集めるか。時間がかかることが多い中で、そこを泥臭く集めきれるかが重要で、若者が時間かけて供給サイドをつくりきるというのは戦略的にありかと。文脈的にはkakutokuと、Picksもここに当てはまってくると思っています。

司会:B2Bは若手は成功率低めとよく言われますが、どう思われますか?

萩谷:その議論でいうと、B2Cは身近な課題でわかりやすく、ミレニアル世代の課題がわかるのが若者のメリットかなと。Snapchatみたいな消えるメッセージのインサイトは普通の大人じゃ気づけない。あと昨日調達ニュースがあったyutoriとか。インスタっていうマーケットが新しく生まれてきている中で若者のインサイトを上手く捉えてコミュニティをつくっているなと感じています。

B向けに関しては、物流や建築などのレガシー領域への投資も最近していますが、若者にはB向けの課題はわかりづらく自分ごとになりづらいというのがあるかと思います。逆にいうとネガティブ要素はそれくらいかなと。満田さんみたいに沢山ヒアリングを重ねて現場の中に飛び込んでいくやり方もあるんだなあと、さっき聞いていて感じました。

 

投資家はプレシード起業家のどこを見るのか?

司会:お二人に質問です。シード期は”人を見る”と言いますが、その要素を具体的に教えてください。因数分解するとなんなのでしょうか?

萩谷:シードで一番見てるのは、経営者とチーム、あとはマーケットというのがそもそもとしてあります。その中で人の要素で何が大事かというと、巻き込み力かと思ってます。エンジニアに声をかけて捕まえてきて、初期のお金がなくてビジョンしかないというときにチームをつくれるかどうか。

意思決定における素直さも大事です。市場のスピードが早い中で柔軟に対応したり、人の意見をしっかり聞いた上で自分で考えた発言をする、みたいなことですね。

あとは思考の深さを見ますね。山のてっぺんに対して、どういう山の登り方をするかについて、シミュレーションが足りてないようだと厳しいと感じてしまいます。

司会:鳥居さんはいかがですか?

鳥居:巻き込み力、いりません。素直さ、いりません。思考の深さ、いりません。と!あえて言いたいです笑。

結局はチームとしての総合力が大事で、個人としては自分の得意な部分や好きな分野を突き詰めるのが大事かと。巻き込み力がなくても自分でプログラミングがめちゃくちゃ出来ればプロダクトはつくれるし、素直じゃなくてもそういうのを受け入れてくれる人を見つければいい。好きなことや分野を究めていれば思考の深さも伴ってくるので、自分の強みが尖っていて仲間を含めてトータルで総合力をつくれているかが重要かと思います。

司会:なるほど。では、起業家に向けて「ピッチ時にこれだけは準備して持ってきてくれ」というものは何か一つありますか?

萩谷:それはあまりないかと。なんなら資料なしで口頭ベースの説明でも良いですし。ただ、未検証項目が多いとバリュエーションに跳ね返ってくるかと思います。何も検証がなく、人としての評価のみだとリスクが取りづらくなるので、低めのバリュエーションになってしまいがちと思います。MVPをつくって検証しっかり終わってPMFイケますと、チャネルも見つけましたとなると、VC間でもコンペになるしバリュエーション上がるかなと思います。

資本政策などについては、少なくともエクイティとは何なのかということは知ってて欲しいですが、資本政策やSOをどうすれば良いかみたいなところはわからなくて当然なので、VCを頼って欲しいと思っています。

鳥居:必要なものは…何か一つと言われると、「情熱」ですかね?

司会:ありがとうございます。最後になりますが、起業家に求めるものをもう一歩踏み込んで教えて頂ければ幸いです。

萩谷:そうですね、VCとしてはマーケットは調べればわかるし、人物評価は実際に面談で会えばわかるけど、ニーズがあるかだけがわからないと思います。例えばB向けのソリューションで、なんとなくニーズありそうだけど実際はよくわからん、みたいな時はMVPとかヒアリング結果が欲しいし、ニーズの存在を確信できる場合はそのままやれば良いし、というところですね。

鳥居:先ほどは情熱だけと言いましたが笑。VCもすべての分野に精通していないので、気づきづらいオポチュニティにどういうプロセスで気づいたのか、あなただけが知っている真実のようなものは聞きたいですね。

司会:なるほど、お二人ともありがとうございました。ここで後半のセッションを終了させて頂きます。皆さまありがとうございました。(会場拍手)

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